2018年度 シラバス情報詳細

●時間割コード
20180014410

●科目区分
基礎セミナー

●科目名
基礎セミナーA
●主担当教員名
鈴木 麗璽

●単位数
2単位

●開講時期
Ⅰ期
木・4
●対象学部
文系学部



●本授業の目的およびねらい

多くの要素が集まって影響し合うと新しい特徴や構造が生まれる.広く創発と呼ばれるこの現象は,生物集団,人間社会,人工物など,実世界の様々な現象を形づくっています.創発現象を理解する方法の一つに,コンピュータの中に人工世界を創って,動かして,観察して理解する,エージェントベースモデリングという手法があります.このセミナーでは,様々な研究領域で活用されている代表的なエージェントベースモデルを体験し,生じる現象の面白さやその意義を理解し議論することを通して,「調べる」,「考える」,「表現する」,「議論する」ための基本的な能力と身につけます.

●履修条件あるいは関連する科目等

特にありません.

●授業内容

はじめに,NetLogoを使ったエージェントベースモデルの基本的な考え方や使い方の基礎を学びます.
つぎに,担当するトピックを選定し,関連するモデルを動かし,体験します.創発現象が生じる仕組みの分析や研究背景の調査,意義の検討を行った結果を,スライド・レジュメ等を用いて他の受講者にわかりやすく発表し,議論します.調査・分析等では,日本語の関連図書や比較的平易な英文によるモデル解説資料,Web検索等を参考にします.なお,適宜グループもしくは個人単位での作業を予定しています.

この過程で,1)様々な現象を創発的な観点から統一的に理解し,本質を見抜く力,2)理解したことを整理し,わかりやすく伝える力,3)多様な背景を持つ受講者と議論し,問題意識を共有する力,4)新たな問題や課題の発見に取り組む力を養います.

トピックとモデルの例:生物の集団行動(アリの餌集め,鳥の群れ,被食・捕食,山火事,協調の進化),人間の社会活動(交通渋滞,経済活動,富の分布,分居の発生,文化の伝播),創発的計算(遺伝的アルゴリズム,粒子群最適化,進化的アート),複雑系(セルオートマトン,複雑ネットワーク)など.


●成績評価の方法

出席,調査・発表の内容,議論参加への積極性等により,総合的に評価します.

●教科書

特にありません.

●参考書

特にありません.

●注意事項

創発的な考え方を理解するための教育用モデル言語であるNetLogoを用いてつくられたモデルを動かしますが,事前の技術や知識は必要ありません.様々な問題を積極的に理解し,議論に参加する姿勢を期待します.幅広い分野からの学生の参加を歓迎します.情報学部棟3階SISラボ(情報学部コンピュータ室)内のSISスタジオで行います.

●本授業に関する参照Webページ

http://www.alife.cs.is.nagoya-u.ac.jp/~reiji/nuilas/

●担当者からの言葉(Webページのみ表示)

エージェントベースモデルには,単純だけれど,理解したい現象や研究領域における問題意識のエッセンスがぎゅっと詰まった味わい深いものがたくさんあります.リーダーはいないのにアリはどうやって行列をつくるのだろう?混みたくないのにどうして渋滞がおきるのだろう?進化の力で問題を解くってどういうことだろう?自然・社会・人工物などの様々な系に共通して潜む創発現象にびっくりしてみたい,幅広い分野からの学生の参加を歓迎します.


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