●本授業の目的およびねらい
「セミナーのテーマ:医学と医療をめぐる倫理学と法医学」 本セミナーでは、医学と医療をめぐる倫理学等のテーマを選択して調査をし、自分なりの考察を行って、倫理観を養うことを目的とする。 具体的には、下記のタイトルに関し、事前に調べてきたことや、自分自身の考察や意見を表明し、最終的にはプレゼンテーションを作成して発表する。また、これらのテーマのみならず、関連する諸外国のメディア等を参照し、社会における幅広い分野に対する関心を持ち、視野を広げることも目標とする。
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●履修条件あるいは関連する科目等
特になし。
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●授業内容
下記の内容について論じる予定であるが、適宜テーマは変更する可能性がある。 また、下記の問題に関して,より基盤的な問題についても資料を配布し、議論する予定である。
1 生命倫理の歴史 2 医療をめぐる倫理観の変遷について 3 終末期医療の倫理 4 生殖医療の倫理 5 出生前診断の倫理学 6 医学研究における倫理的問題 7 先端医療と社会との関係 8 社会と福祉との関係について 9 社会の中における法医学
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●成績評価の方法
成績評価については、授業の出席、各トピックにおいての発言、レポート提出、プレゼンテーション等を総合的に勘案して評価を行う。
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●教科書
特になし。必要な場合は逐次紹介ないし、関連資料を配布する。
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●参考書
具体的な参考書はないが、例えば下記の本を読むことを勧める。 ヴィクトール・E・フランクル 夜と霧(新版) みすず書房 高杉一郎 極光のかげに 岩波文庫 野崎昭弘 詭弁論理学 逆説論理学 いずれも中公新書
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●注意事項
当セミナーは、教養課程での科目であることを鑑み、医学、医療を離れ、幅広い倫理的及び社会的トピックを取り上げることもある。セミナー出席者の主体的な取り組みを期待する。英語等の外国語の文献の購読等、少なくとも英語は必須である。当セミナーでは、英語をはじめとする外国語を積極的に勉学する意志のない学生は歓迎されない。
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●本授業に関する参照Webページ
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●担当者からの言葉(Webページのみ表示)
本セミナーは、生命倫理を一応主題として掲げてはいるものの、取り扱う個々のテーマは狭義の生命倫理問題に留まらない広い領域を扱うこともある。その理由は以下の通りである。生命倫理を論じるためには周辺の歴史学、社会学等の領域や時事的な問題も知っている必要がある。言い換えれば、生命倫理は基礎となる諸学問の上に成立する応用的な領域であり、何か教科書を読めばそれで答えが出るという問題ではないからである。 ところで、学生諸君が大学に入って一番とまどうことは、従来の受け身的な学習姿勢が通用しないことではないかと思う。「求めよ、さらば与えられん」という言葉がある。稚拙でもいいので、自分自身の言葉で疑問を形にしていき、教員にぶつかってほしい。また、自分自身の考えを具体的説明する国語の能力も、同時に涵養する必要がある。 加えて、外国語、特に英語の文献に触れること、さらには日常的に英語を読み、聞く習慣を付けてほしい。具体的には、欧米の主要メディアの記事がある程度読める語学力である。この点も,本セミナーで力を付けてほしい大きな点である。 生命倫理は、孤立した学問としてあるわけではない。また、自分が従来常識であると考えていたことも、実は偏見によるバイアスがかかっている可能性が常に存在する。これらを考えると、自分が知らない世界を知り、他人が自分と違う趣味や価値観を持っていることを再確認し、自己を振り返ることは決して無駄ではない。旺盛な好奇心を持ってこの授業に参加して欲しいと願う次第である。
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